ポケットティッシュの歴史-いつどこで誕生した?発明したのは誰?

2023/9/4

カテゴリー:ポケットティッシュの豆知識

持ち運びに便利なポケットティッシュ。
必ずひとつはカバンに入れているという方も多いでしょう。
生活必需品といえるポケットティッシュですが、いつ頃から使われるようになったのか、どのように日本人の生活に浸透したのかは、意外と知られていないのでは?

そこで本記事では
「ポケットティッシュの歴史を知りたい!」
「ポケットティッシュの豆知識に興味がある!」
という方のために、ポケットティッシュの誕生から最新事情までを解説します。

ティッシュペーパーの基本知識と歴史について

日本は世界トップクラスのティッシュペーパー消費国であることをご存知ですか?
商品のバラエティも豊かで、さまざまな形態やサイズ、色・絵柄・香りの商品が、安価なものから高級品まで揃っていますよね。

ポケットティッシュの歴史について語る前に、まずは中身のティッシュペーパーそのものについて、基本知識や歴史を確認していきましょう。

ティッシュペーパーの基本知識

柔らかい手触りと高い吸水性を持つティッシュペーパーは、鼻をかむ、顔を拭く、ちょっとした掃除に使うなど、用途の広い消耗品です。

■ティッシュペーパーの原料と製造方法
ティッシュペーパーの原料は主にパルプ(植物繊維)です。
原料となる木材を細かいチップに加工し、高温・高圧で溶かしてパルプを取り出し、漂白します。
パルプを薄く広げ、水分を取り除いて乾燥させ、柔らかく薄いシートを形成します。

■ティッシュペーパーが2枚重ねの理由
ティッシュペーパーが通常2枚1組になっているのは、「強度を上げる」「吸水性を良くする」「手触りを良くする」という3つの理由があるそうです。

■ティッシュペーパーとトイレットペーパーの違い
ティッシュペーパーは水を含んでもほぐれにくい性質を持つため、トイレに流すと詰まりの原因となってしまいます。

一方、トイレットペーパーは水に触れると繊維同士がほぐれてバラバラになります。
澱粉を使って繊維をほぐれやすくしているからです。

ティッシュペーパーの起源はアメリカ

ここからはティッシュペーパーの起源と歴史について解説していきましょう。
ティッシュペーパーはもともと第一次世界大戦中のアメリカで外科手術用の脱脂綿の代用品として誕生したといわれています。

第一次大戦終了後の1924年、大量に余ったティッシュペーパーをキンバリー・クラーク社がメイク落としに転用し「クリネックスティシュー」を発売すると、女性の間で大ヒット!
その後、「使い捨てハンカチ」という新しいコンセプトでの広告展開により、ティッシュペーパーは急速にアメリカ人の日常生活に浸透していきました。

ティッシュペーパーの日本上陸は1953年

ティッシュペーパーが日本に入ってきたのは1953年とされています。
1963年に山陽スコットが初の国産ティッシュペーパー「スコット・トイレットティッシュー75m(シングル)」を発売。
翌年には、箱入りティッシュペーパーや持ち運べるタイプも登場し、「持ち運べるティッシュペーパー」としてポケットティッシュの起源なったとされます。

参考サイト:沿革|企業情報|日本製紙クレシア株式会社

アメリカ製より割安だった国産商品は、CMの効果もあって一気に主婦の間で広まっていきました。
後述するポケットティッシュの普及もあって、日本は世界トップクラスのティッシュペーパー消費国となっています。

ポケットティッシュの歴史について

ここからはポケットティッシュの誕生と日本での普及について解説します。
その名の通り、ポケットに入るサイズでどこへでも持っていけるポケットティッシュは、日本で誕生し、独自のスタイルで発展を遂げてきました。

ポケットティッシュは1968年に日本で誕生

現在のようなポケットティッシュが誕生したのは、1968年とされています。
高知県の製紙加工会社が、ティッシュペーパーを小さく折りたたむための機械を発明。
携帯用ティッシュペーパーの製造を始めると同時に、それまで販促品として主流だったマッチ箱に代わる無料の広告媒体として活用することを思いつきました。

「ポケットティッシュ」というネーミングは、当時、商品の宣伝に関わっていた販促品企画会社のスタッフが考案したそうです。

広告としてポケットティッシュが配布されるように

日本でポケットティッシュが急速に普及したのは広告媒体として使われるようになったからです。

・1970年頃~ ポケットティッシュの普及が始まる
富士銀行(現みずほ銀行)が口座開設者に粗品として20万個を配布したことがきっかけだといわれています。

・1973年~ 金融業界の販促品として活用される
消費者金融が街頭でのポケットティッシュ配布を始め、金融業界で販促品として定着していきました。

それにしても、包装フィルムにポケットを作って小さな広告を入れるとは、秀逸なアイデアですよね!
「広告つきのポケットティッシュを無料配布する」という販促スタイルの誕生によって、日本でのポケットティッシュの需要は急拡大しました。

駅前や店頭でポケットティッシュを無料配布する、いわゆる“ティッシュ配り”は日本独自の文化といえるのはないでしょうか。
海外では無料でポケットティッシュを配っている光景はなかなか見かけませんよね。

こうしてポケットティッシュは日本人にとって、“タダでもらえるもの”となりました。
「家にポケットティッシュが山ほどある!」という方も多かったはずです。

最近のポケットティッシュ事情

販促品の定番であるポケットティッシュですが、ここ数年はもらう機会が少なくなったと感じていませんか?
「足りなくなって、お店で買うようになった」という声も耳にします。
最近のポケットティッシュ事情はどうなっているのでしょうか。

コロナ禍の影響で街頭配布は減少

2020年以降、新型コロナウィルス感染症対策の観点から、直接手渡しをするポケットティッシュ配布のような販促活動は自粛されるようになりました。

しかし、2023年5月に新型コロナウィル感染症が5類感染症へ移行したことを受け、さまざまな活動や営業が徐々に戻りつつあります。
街頭や店舗でのティッシュ配布が増えていくと良いですね。

ポケットティッシュの店頭価格は上昇

比較的安価で手軽に購入できるものだったポケットティッシュですが、昨今の物価上昇を受けて価格はかなり上昇しています。

2023年に入り、製造コストの上昇や円安を理由に、さまざまなメーカーが家庭用のトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの値上げを発表しました。
過去最大である20%の値上げに踏み切った大手メーカーもあり、スーパーやドラッグストアの店頭で「ペーパー類が高い!」と実感されている方も多いでしょう。

総務省の調査によると、ボックスティッシュ1パック(5箱)の全国平均価格は1年前と比べて約22%も上昇しています。

・2022年4月:364円
・2023年4月:443円

参考サイト:小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

参考サイト:「全国でのティッシュペーパー1パック値段は?2023年4月までのティッシュペーパーの価格推移」発表日2023年05月23日|小売物価統計調査による価格推移|日本の物価

ポケットティッシュも同様に値上がりしており、店舗やネットで調べると約1.5倍になっている商品もあります。

まとめ

今回はポケットティッシュの歴史について解説しました。
アメリカで生まれたティッシュペーパーは1953年に日本に上陸し、1963年から国産ティッシュペーパーの製造・販売が始まりました。
ポケットティッシュは、1968年、ティッシュペーパーを小さく折りたたむ機械が発明されたのがきっかけで誕生したとされています。
1970年代に広告をつけた販促品として活用されるようになると、ポケットティッシュの生産と消費は爆発的に増え、日本人の生活に欠かせないものとなりました。

2020年以降は販促用ポケットティッシュの配布が減少していたものの、2023年は販促活動やイベントの復活により配布数はまた増えていくかもしれません。

ただし、最近の原料高や円安でポケットティッシュの店頭価格が上昇しているため、その価値やありがたみが増したようにも感じます。
たかがポケットティッシュ、されどポケットティッシュ、ですね!

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